子供たちの心ない言葉
いずれあるだろうとは思っていましたが、支援級在籍であることからどういう言葉を投げかけられるのか、2週間にしてさっそく親の私も目の当たりにすることに。
近くの食料品店にて、息子と同い年くらいの女の子に「あ、△△君だ。お父さん3年A組の子」と声をかけられ、知らない顔なのでとりあえず「こんにちは♪」とその子と同行のお父さんにご挨拶、お父さんも「こんにちは」と返して下さった次の瞬間、
「○○(支援クラスの名称)の子なんだよ」「○○の子に会っちゃうなんて~」「あの子○○だよ」
と明らかに悪意のある口調で連呼し始めたのです。正直、背中に水を浴びせられたような思いでした。ああ、息子はこういう言葉を突然向けられるようになって、だから交流クラスにあまり行きたがらないのかなとも。
3月までは普通級にいたからそういう差別はもちろん無かった、それが突然4月から変わってしまった。息子自身は3月までと何ら変わることはないのに。
私としては交流クラスにも積極的に行って、今までのお友達ともつながってくれるといいなどと思い、3年A組は広いからいいと本人が言っていたこともあり、休み時間など遊びに行くことを勧めたりしていましたが、「クラス替えしちゃったしね~」と言って行きたがらなかった息子。
現実はそんなに甘くないことを思い知りました。同時に8才の息子がそんな中で頑張っているのだなぁとも。
目の前でそれを連呼する女の子の近くにいるのはさすがにいたたまれず、会釈して離れようとした私に、その時息子がひそひそ声で言いました。「お母さん、聞こえなかったことにして」と。
なぜあの時息子がそんな言葉を囁いたのかはわかりません。私もどう反応したらいいのか咄嗟に浮かばず、ただ曖昧にうなずいただけでしたが、息子はすぐ笑顔に戻って歩き出し、息子のその言葉で「○○」に含まれる悪意がわかったらしいお父さんが、まだ言い募っていた女の子の頭をぺしっと叩いたような音が後ろでしていました。(そういう意味では何とも絶妙な息子の “ひそひそ声” でした(笑))
ああいう時、自分が親ならどう話すだろう。差別はいけないことだよ?うーん、あまりしっくり来ません。だって今まで通り普通級で紛れて過ごしていればそもそも差別されることもなかった。そう考えればあの子とうちの子と一体何が違うのでしょう。
色んな人がいていいんだよ?みんな違って当たり前。でもそこまでの話に持っていくのは大変です。
私もきっとあのお父さんのように、とりあえず黙らせるために頭をぺしっとするくらいがせいぜいだったかも。
親も一緒になってあれこれ言うような人でなくて良かった、というのが素直な気持ちです。
あの時の息子のささやきは、私を助けたかったのかなとも思います。お母さん、聞こえなかったことにして。気にしないで行こう、と。
未だに支援級という選択が本当に良かったのか、些細なことで気持ちが揺れてしまう私より、よっぽど息子の方がしっかり現実に対処できているかもしれません。
支援級を選んだことで辛い現実もやって来る。
けれども、支援級で仲間ができて、日々自分のことを肯定しながら導いて下さる良い先生方にめぐまれて、確実に息子は真の意味で強くなっている。
そんな気がしました。